セレン(Se)

selenium_Eyechatch 栄養解説
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基本情報

セレン(Selenium)は原子番号34、元素記号Seの第16族元素の一つです。
食品中のセレンの多くは、セレノメチオニン、セレノシステインなどの含セレンアミノ酸の形態で存在しており、吸収率はおよそ90%と考えられています。
骨格筋はセレン貯蔵において主要な部位であり、セレン全体の約28%から46%を占めています。

機能

セレンは、セレノシステイン残基を有するセレノプロテインの構成要素として、生殖、DNA合成、抗酸化システムや甲状腺ホルモン代謝において重要な役割を果たしています。
セレノプロテインには、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)、ヨードチロニン脱ヨウ素酵素、セレノプロテインP、チオレドキシンレダクターゼなどがあります。

摂取量の過不足によるリスク

摂取不足によるリスク

  • 心筋障害を主徴とする中国の風土病の一つである克山病や、中国、チベット、シベリアの特定の低セレン地域で発生する変形性関節症の一種であるカシン・ベック病に関与しています。
  • セレン欠乏症はヨウ素欠乏症を悪化させる可能性があり、乳児の場合、クレチン病のリスクを高める可能性があります。
  • セレン欠乏症は男性不妊症にも関連しいます。

過剰摂取によるリスク

  • 過剰摂取の初期の指標は、息のニンニク臭と口の金属味です。
  • 慢性的な過剰摂取による症状は、脱毛、爪の変形などがあります。
  • 急性の過剰摂取は、重度の胃腸および神経症状、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、脱毛、筋肉の圧痛、震え、立ちくらみ、顔面紅潮、腎不全、心不全、最悪の場合死に至る可能性があります。
  • その他の症状には、皮膚や神経系の病変、吐き気、下痢、皮膚の発疹、倦怠感、神経過敏、神経系の異常などがあります。

摂取量

必要量

WHOは、血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性値が飽和値の2/3の値であれば克山病が予防できることから、血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性の飽和値の2/3の値を与えるセレン摂取量をセレンの必要量としています。
血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性値とセレン摂取量との間に作成された回帰式(血漿グルタチオンペルオキシダーゼ活性値の飽和値を100としたときの相対値=2.19×セレン摂取量(µg)+13.8)より、活性値が飽和値の2/3(66.7)となるときのセレン摂取量は、24.2µgとなります。
この値を参照値と考え、研究の対象者(中国人)の平均体重を60kgと推定し、体重比の0.75乗を用いて算出した値が必要量とされました。
セレンの栄養状態が適切であれば、体重1kg当たりのセレン含有量は約250µgと推定されており、出生時体重の平均値と胎盤の重量を合わせた約3.5kgに対して必要なセレンはおよそ900µgとなります。
さらに、血液中にも170〜198µg/L含まれており、妊娠中に生じる血液体積の 30〜50%の増加についても考慮する必要があります。
体重当たりの血液量を0.075L/kgとすると、1.1〜1.9Lの血液増加となり、血液増加に伴って必要となるセレンはおよそ300µgとなります。
よって、両者を合わせたおよそ1,200µgが妊娠に伴って必要なセレン量となり食事中セレンの吸収率、妊娠期間280日から算出された1日当たりの量(4.76µg)を丸めた5µgが、妊婦における必要量の付加量とされました。
日本人の母乳中セレン濃度に関する研究から得られた平均値17µg/Lを日本人の母乳中セレン濃度の代表値とし、基準哺乳量0.78L、食品中セレンの吸収率から算出された14.7µgを丸めた15µgが授乳婦における必要量の付加量とされました。

上限量

食品のセレン濃度が高い中国湖北省恩施地域において、セレン中毒が認められた患者(平均体重60kg)の中で最も少ないセレン摂取量は、913µgと推定されました。その後の再調査では、セレン中毒から回復した患者の摂取量は800µgでした。
このことより、上限量は6.7µg/体重(kg)と設定されました。

推奨量

推奨量は、必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
付加量についてはそれぞれ、妊婦5µg、授乳婦20µgとされました。

摂取源

マグロやイワシなどの魚類、肉類、卵に多く含まれています。
ブラジルナッツには非常に多くのセレンが含まれています。

注意

亜鉛は特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によっては亜鉛濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、亜鉛摂取については医療スタッフと相談してください。

シスプラチン

卵巣がん、膀胱がん、肺がん、およびその他のがんの治療に使用されるシスプラチンは、髪と血清中のセレンレベルを低下させる可能性があります。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。

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