基本情報
クロム(Chromium)は原子番号24、元素記号Crのクロム族元素の一つです。
クロムは遷移元素であるため、様々な価数をとります。
食品に含まれるのは3価クロムであるので、食事摂取基準が対象とするのは3価クロムです。
その他、自然界にはほとんど存在しないが人為的に産生される6価クロムなどがある。
以上のことから、食事摂取基準が対象とするのは3価クロムです。
機能
クロムは、インスリン作用を増強することにより、炭水化物、脂質、およびタンパク質の代謝に関わっています。
これは、クロムが結合することでクロモデュリンと呼ばれるペプチドが形成され、インスリンによって活性化される受容体の活性を維持し、インスリン作用を増強するためです。
また、最近ではクロムを必須の栄養素とする根拠はないとする説が有力であるものの、定説には至っていません。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
- クロムの欠乏は健康的な集団で報告されておらず、決定的な欠乏症状は明らかになっていません。
過剰摂取によるリスク
- 通常の食品において過剰摂取が生じることは考えられませんが、3価クロムを用いたサプリメントの不適切な使用が過剰摂取を招く可能性がある。
- クロムのサプリメントは、インスリン感受性の低下、体重減少、貧血、血小板減少、肝機能障害、腎不全、横紋筋融解症、皮膚炎、低血糖を引き起こす可能性があります。
摂取量
必要量
クロムの食品からの摂取の必要性について疑問がありますが、成人に関してはクロム摂取量に基
づき、目安量が設定されました。
上限量
BMIが27未満の肥満ではなく、血糖値が正常な20〜50歳の男女に1,000µg/日の3価クロムを16週間にわたって投与した研究では、血清クロム濃度とインスリン感受性との間に逆相関がありました。
投与者における血清クロム濃度の変動の理由は不明ではあるものの、健康障害を起こす可能性は否定できないことから、成人のクロム摂取の上限量は500µgとされました。
目安量
献立のクロム濃度を実測した報告によると、成人のクロム摂取量は20〜80µg/日の範囲と推定されています。
一方、日本食品標準成分表を利用して日本人の献立からのクロム摂取量を算出すると、約10µg/日という値となり、化学分析による摂取量推定値との間に大きな違いが生まれます。
さらに、同じ献立について食品成分表を用いた算出値と化学分析による実測値を比較した場合にも、同様に差が生まれています。
これらのことから、日本人のクロム摂取量に関して、正確な数値を推定することは難しいと考えられます。
ただ、栄養素の摂取量推定や献立の作成において食品成分表が活用されていることを考慮すると、食品成分表を用いた日本人のクロム摂取量を優先するのが現実的でと考えられ、目安量は10µgとされました。
妊婦と授乳婦については十分な報告がないため、付加量は設定されませんでした。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~(歳) | 10µg | 10µg |
妊婦 | - | 10µg |
授乳婦 | - | 10µg |
摂取源
クロムは、海藻、肉、穀物製品、果物、野菜、ナッツ、スパイス、醸造用酵母、ビール、ワインなど多くの食品に含まれています。
ただ、食品中のクロム量は土壌や水、製造工程によって大きく変動します。
注意
クロムは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはクロム濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、クロム摂取については医療スタッフと相談してください。
インスリン
クロムはインスリン感受性を上げることからインスリンと併用すると、低血糖のリスクが高まる可能性があります。
メトホルミンおよび他の抗糖尿病薬
いくつかの研究から、クロムの補給が血糖値を下げる可能性があることを示しており、メトホルミンや他の抗糖尿病薬と併用すると、低血糖のリスクを高める可能性があります。
レボチロキシン
ピコリン酸クロムサプリメントを甲状腺機能低下症の治療に使用されるレボチロキシンと同時に摂取すると、6時間にわたってレボチロキシンの吸収が減少することがわかっています。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
本ページでわからない点などがあれば、お気軽にお問い合わせページよりお問い合わせください。
(WordPress勉強中のため返信に時間がかかるかもしれませんのでご了承ください。)
このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。
コメント