カルシウム(Ca)

calcium_Eyechatch 栄養解説
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基本情報

カルシウム(Calcium)は原子番号20、元素記号Ca、アルカリ土類金属の一つです。
カルシウムは、体重の1〜2%を占め、その99%は骨や歯に存在し、残りの約1% は血液や組織液、細胞に含まれています。
出生時、体内には約26〜30gのカルシウムが含まれています。
この量は出生後急速に上昇し、成人期までに女性で約1,200g、男性で約1,400gに達します。
これらのレベルは男性では一定のままですが、閉経開始時のエストロゲン産生の減少による骨リモデリングの増加の結果として、女性では低下し始めます。
骨は、体内のカルシウムの恒常性を維持するための貯蔵庫や供給源となっています。
また、継続的にリモデリング(骨吸収・骨形成)され、カルシウムが絶えず吸収されて新しい骨に沈着します。

機能

カルシウムは、骨や歯の構成だけでなく、血管収縮および拡張、筋機能、血液凝固、神経伝達などにも関与しています。

摂取量の過不足によるリスク

摂取不足によるリスク

  • 骨の強度を低下させ、骨粗鬆症を引き起こす可能性があります。
    骨粗鬆症は、骨がもろく、転倒のリスクが高いことを特徴としています。
  • 一般的な症状は、口周囲のしびれ、手足のうずき、筋肉のけいれんなどの神経筋の過敏性の増加です。
  • 深刻な症状は、高血圧、動脈硬化 、脳の石灰化、神経症状(うつ病や双極性障害)、白内障、うっ血性心不全、感覚異常、昏睡などがあります。

過剰摂取によるリスク

  • 高カルシウム血症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、低リン血症、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などが生じる可能性がります。
  • 高容量のカルシウム摂取量は、コロナウイルスや癌の死亡リスクを高める可能性があります。

摂取量

必要量

体内蓄積量、尿中排泄量、経皮的損失量をそれぞれ算出し、これらの合計を見かけの吸収率で除した量が必要量とされました。

体内蓄積量

全身の骨塩量を測定した報告を基に、性別と年齢区分ごとに平均骨塩量を算出し、年間に増加する骨塩量を求め、この値から性別と年齢区分ごとの体内蓄積量が算出されました。

尿中排泄量

カルシウム出納の平衡が維持されている場合の1日の尿中排泄量は、体重(kg)0.75乗×6mgと計算された報告があります。

経皮的損失量

経皮的損失量は尿中排泄量の約1/6とする報告があります。

見かけの吸収率

海外の研究で用いられた摂取量は、日本人の平均的な摂取量よりも多いため、報告された見かけの吸収率をそのまま日本人に用いると過小に評価してしまう可能性があります。
また、ダブルアイソトープ法により真の吸収率が推定されますが、この値は見かけの吸収率よりも高く算出されます。
これらのことから、見かけの吸収率が求められる試験と真の吸収率が求められる試験の報告を基に、性別と年齢区分ごとの見かけの吸収率が推定されました。

上限量

過去の日本人の食事摂取基準を基に、上限量は2,500 mgとされました。
通常の食品からの摂取でこの値を超えることはほとんどありませんが、サプリメントなどを使用する場合には注意が必要です。
また、ビタミンDとの併用によっては、少ない摂取量でも血清カルシウムが高値を示すこともあり得ます。

推奨量

必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
妊婦と授乳婦の付加量は設定されていませんが、新生児の身体には約28〜30gのカルシウムが含まれており、この大半は妊娠後期に母体から供給され、蓄積されます。
摂取量が推奨量未満の女性は推奨量を目指すべきであり、非妊娠時に比べると付加することになるともいえます。

摂取源

ミルク、ヨーグルトやチーズなどの乳製品は、カルシウムが豊富に含まれています。
乳製品以外では、イワシの缶詰や骨付きのサーモンのほか、ケール、ブロッコリー、白菜(チンゲン菜)などの野菜に含まれています。
カルシウムの吸収は食品の種類によって異なります。
乳製品や栄養強化食品からのカルシウムの吸収は約30%ですが、植物中の特定の化合物(シュウ酸、フィチン酸など)は、カルシウムと難消化性の塩を形成することで吸収率が減少します。
そのため、シュウ酸を含むほうれん草のカルシウム吸収率はわずか5%です。

注意

カルシウムは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはカルシウム濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、カルシウム摂取については医療スタッフと相談してください。

ドルテグラビル

HIVインテグラーゼ阻害剤として使用されるドルテグラビルは、カルシウムサプリメントとの同時使用によって、ドルテグラビルの血中レベルを低下させることがあります。

レボチロキシン

炭酸カルシウムのサプリメントは、甲状腺機能低下症や甲状腺​​がんの治療に使用される甲状腺ホルモンであるレボチロキシンの吸収を妨げる可能性があります。

炭酸リチウム

双極性障害の治療薬である炭酸リチウムの長期使用は高カルシウム血症につながる可能性があります。

キノロン抗生物質

カルシウムサプリメントとキノロン抗生物質の同時使用は、キノロン抗生物質の吸収を低下させる可能性があります。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
本ページでわからない点などがあれば、お気軽にお問い合わせページよりお問い合わせください。
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。

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