基本情報
ビタミンEは、脂溶性のビタミンであり、抗酸化作用が特徴の脂溶性化合物の一群を指します。
4種(α-体、β-体、γ-体、δ-体)のトコフェロールと4種(α-体、β-体、γ-体、δ-体)のトコトリエノールの合計8種類の同族体が知られており、血液や組織中に存在するビタミンEのほとんどがα-トコフェロールです。
このことから、食事摂取基準はα-トコフェロールの重量として策定されました。
機能
ビタミンEは、心血管疾患やがんの一因となる可能性があるフリーラジカルによる細胞損傷から細胞を保護します。
また、ビタミンEは免疫機能や、血管の拡張とも関与しています。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
- 通常の食品からの摂取において欠乏症を来すことはありません。
- 末梢神経障害、運動失調、骨格筋ミオパシー、網膜障害、免疫応答の低下が挙げられます。
- 動物における欠乏実験では、不妊以外に、脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状を発症します。
過剰摂取によるリスク
- 通常の食品からの摂取において過剰症を来すことはありません。
- 動物の場合、体内に出血が生じ血液凝固が妨げられることがあり、血小板凝集能を阻害することが示唆されています。
- α‐トコフェロールを摂取した対象者に、出血性脳卒中リスクの増加がみられた臨床試験があり、ビタミンEに出血を起こさせる傾向があることを暗示している可能性があります。
摂取量
必要量
血中のα-トコフェロール値が6〜12µmol/Lの範囲にある場合には、過酸化水素による溶血反応が上昇することが報告されており、血中のα-トコフェロール値が14µmol/Lあれば、この症状を防止できることが認められています。
また、12µmol/Lの血中のα-トコフェロールの濃度に対応する摂取量は12mg/日であったという報告があります。
ただ、これらの報告はかなり古く、これらを根拠として必要量や推奨量を算定するのは困難だと考えられ、必要量は設定されませんでした。
上限量
α-トコフェロールを低出生体重児に補充投与した場合、出血傾向が上昇することが一部示されていますが、健康な成人男性(平均体重62.2kg)においては800mg/日のα-トコフェロールを28日間摂取しても、非摂取群に比べて血小板凝集能やその他の臨床的指標に有意な差は見られなかったとの報告があります。このことから、健康な成人のα-トコフェロールの健康障害非発現量は、現在の
ところ800mg/日と考えられ、参照体重(62.2kg)を用いて体重比から、男性750~900mg/日、女性650~700mg/日の上限量が算出されました。
目安量
目安量は、ビタミンEの欠乏実験や介入研究によるデータが十分にないため、日本人の摂取量を基に設定されました。
日本人を対象として血中のα-トコフェロール濃度と摂取量を測定した報告をまとめると、血中濃度の平均値は22µmol/L以上に保たれており、摂取量の平均値は5.6〜11.1mg/日でした。
この値は、平成28年国民健康・栄養調査における摂取量の中央値(男性6.1〜6.7mg/日、女性5.8〜6.7mg/日)に近く、現在の日本人の摂取量の中央値程度を摂取していればビタミンEの栄養状態に問題がないであろうことを示唆していると考えられました。
このことから、摂取量の中央値を平均した値を丸め、男性6.5mg/日、女性6.0mg/日を目安量としました。
妊婦と授乳婦についても同様の方法で設定され、妊婦6.5mg/日、授乳婦7.0mg/日が目安量とされました。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~(歳) | 6.5mg | 6.0mg |
妊婦 | - | 6.5mg |
授乳婦 | - | 7.0mg |
摂取源
ビタミンEは多くの食品に含まれています。
中でもナッツ類、種子類、植物油にはα‐トコフェロールが豊富に含まれています。
注意
ビタミンEは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはビタミンE濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、ビタミンE摂取については医療スタッフと相談してください。
抗凝血剤および抗血小板薬
ビタミンEは血小板凝集を阻害するため、ワーファリンなどの抗凝血剤や、抗血小板薬を高用量のビタミンEと併用すると、出血リスクが高まる可能性があります。
シンバスタチンおよびナイアシン
高脂血症、家族性高コレステロール血症の治療に用いられるシンバスタチンとナイアシンの併用治療を受けている人において、ビタミンEや、ビタミンCなどの抗酸化剤成分を摂取することにより、HDLコレステロール濃度の上昇が鈍化した報告があります。
化学療法および放射線療法
がんの化学療法あるいは放射線療法中にビタミンEなどの抗酸化サプリメントを使用することで、がん細胞に対して酸化的損傷を与えることで得られる効果を、阻害してしまう可能性があります。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。
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