ビタミンB12

基本情報

ビタミンB12は水溶性のビタミンB群の一つです。
また、コバルトを含有する化合物（コバミド）であり、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンなどがあります。
食事摂取基準は、シアノコバラミンの重量として設定されました。

機能

ビタミンB12は、正常な赤血球細胞の形成、神経機能、DNA合成に必須である。
また、脂肪酸やアミノ酸（バリン、イソロイシン、トレオニン）の代謝にも関与しています。

摂取量の過不足によるリスク

摂取不足によるリスク

• ビタミンB12が欠乏すると、巨赤芽球貧血、疲労感、衰弱、便秘、食欲不振、体重減少が現れます。
• その他、手足のしびれや刺痛といった神経系の変化、平衡機能障害、うつ、錯乱、認知症、記憶力低下なども発症します。
• 乳児期では、発育不全、運動障害、成長遅延、巨赤芽球貧血などがあげられます。
  ただ、これらの症状の多くは、ビタミンB12欠乏症以外のさまざまな病態により起こる可能性もあります。

過剰摂取によるリスク

• ビタミンB12は、胃から分泌される内因子によって 体内への吸収量が厳密に調節されているため、過剰摂取による健康障害の報告はありません。

摂取量

必要量

健康な成人では、特殊な吸収機構やビタミンB12が回収・再利用されているため、必要量は算出できません。
そのため、悪性貧血の患者に様々な量のビタミンB12を筋肉内注射し、平均赤血球容積と血清中のビタミンB12濃度を適正に維持するために必要な量を基に、推定平均必要量は2.0μg/日と算定されました。
妊婦の付加量は0.3μg/日とされています。
また、授乳婦の付加量は、0.7μg/日とされています。

上限量

現時点でビタミンB12の過剰摂取によって健康障害が発生する科学的根拠がないため、上限量は設定されませんでした。

目安量

推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
妊婦の付加量は0.4μg/日とされています。
また、授乳婦の付加量は、0.8μg/日とされています。

摂取源

ビタミンB12は魚、肉、卵、乳製品などの動物性の食品中に含まれており、植物性の食品にはほとんど含まれていません。

注意

ビタミンB12は特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはビタミンB12濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、ビタミンB12摂取については医療スタッフと相談してください。

クロラムフェニコール

抗生物質であるクロラムフェニコールは、一部の患者で、ビタミンB12補充治療に対する赤血球の反応を妨げる可能性があります。

プロトンポンプ阻害剤

胃食道逆流症や消化性潰瘍の治療に使われるプロトンポンプ阻害薬のオメプラゾールやランソプラゾールなどは、胃内への胃酸分泌を緩徐化することにより、食物中のビタミンB12の吸収を妨げる可能性があります。

H2受容体拮抗薬

消化性潰瘍の治療に使われるヒスタミンH2受容体拮抗薬である、シメチジン、ファモチジン、ラニチジンなどは、胃内への胃酸分泌を緩徐化することにより、食物からビタミンB12が吸収されるのを妨げる可能性があります。

メトホルミン

糖尿病治療に使用される血糖降下薬であるメトホルミンは、腸運動の変動、腸内細菌の過剰繁殖の促進、回腸細胞でのビタミンB12-内因子複合体のカルシウム依存性取り込みの変動によりビタミンB12の吸収を低下させる可能性があります。