チアミン(ビタミンB1)

thiamin_Eyechatch 栄養解説
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基本情報

チアミンは水溶性のビタミンB群の1つであり、 ビタミンB1としても知られています。
チアミンは通常の食品中ではリン酸が一つ結合したチアミンモノリン酸、二つ結合したチアミンジリン酸、三つ結合したチアミントリリン酸の形で存在します。
一方、サプリメントなどに含まれるビタミンB1は、チアミン塩化物塩酸塩が多いです。
チアミンの食事摂取基準の数値はチアミン塩化物塩酸塩の重量とされています。

機能

チアミンは、グルコース代謝と分枝アミノ酸代謝などに関与しています。
そのため、細胞の成長、発達、機能に重要な役割を果たします。

摂取量の過不足によるリスク

摂取不足によるリスク

  • チアミン欠乏症は、初期の段階では体重減少や​​食欲不振、錯乱、短期記憶喪失、筋力低下、および心血管症状(心臓肥大など)、その他の精神的兆候や症状を引き起こす可能性があります。
  • チアミン欠乏症の最も一般的な影響は脚気であり、主に手先や足先が麻痺したり下肢の浮腫などの症状がみられます。
    また、うっ血性心不全を引き起こすこともあり、最悪の場合、死に至ることがあります。
  • その他一般的な症状として、ウェルニッケ・コルサコフ症候群があります。
    ウェルニッケ脳症は、 治療を行わないと患者の10~17%が死亡します。 死亡例以外でも56~84%が重度の短期記憶喪失、失見当識、および作話(現実の記憶と想像上の記憶の混乱)を特徴とするコルサコフ症候群へ移行していきます。
    ウェルニッケ脳症の原因は、アルコール依存症が半分を占めますが、重度の胃腸障害、悪性腫瘍、薬物使用障害、またはAIDSの患者にも発症する可能性があります。
    一旦コルサコフ症候群になると回復は困難であるため、ウェルニッケ脳症の段階で早期発見・早期治療することが重要です。

過剰摂取によるリスク

  • 毎日10gのチアミン塩化物塩酸塩を2週間半の間、飲み続けた結果、頭痛、いらだち、不眠、速脈、衰弱、易刺激性、かゆみが発生するも、摂取を中止すると、2日間で症状は消えました。
  • チアミン塩化物塩酸塩をアンプルに詰める際に接触皮膚炎を引き起こす者がいました。

摂取量

必要量

チアミンの主な役割は、エネルギー産生栄養素(主に炭水化物)の代謝のため、必要量はエネルギー消費量当たりで算定されました。
チアミンの必要量を摂取量と尿中の排泄量との関係式における変曲点からをチアミンとして0.35mg/1,000kcalとなり、チアミン塩化物塩酸塩量としては0.45mg/1,000kcal となります。
妊婦の付加量は0.2mg/日とされています。
また、授乳婦の付加量も、0.2mg/日とされています。

上限量

チアミンは、飽和量を満たすまではほとんど尿中に排泄されませんが、飽和量を超えると、急激に尿中排泄量が増大します。
以上のことと、過剰摂取によるリスクから上限量を算定できるデータは十分ではないと判断され、策定されていません。

推奨量

推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
妊婦と授乳婦における推定平均必要量の付加量は必要量と変わらず0.2mg/日とされています。

摂取源

チアミンは、全粒穀物、肉、魚に多く含まれます。
乳製品と多くの果物にはチアミンがほとんど含まれていません。
チアミンは水溶性ビタミンのため、調理用の水を捨てると多量のビタミンが失われることと熱に弱い欠点があります。

注意

チアミンは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはチアミン濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、チアミン摂取については医療スタッフと相談してください。

フロセミド

利尿薬であるフロセミドは、尿量を増やすことによって浮腫や高血圧を治療するために使用されます。フロセミド投与により尿中ビタミンB1排泄が増加した研究があり、結果としてチアミンを含む水溶性ビタミン全般の欠乏のリスクとなります。

フルオロウラシル

結腸直腸癌やその他の癌の治療に使用されるフルオロウラシルは、フルオロウラシルによる治療に起因する脚気またはウェルニッケ脳症を発症した症例がいくつかあります。原因は、フルオロウラシルがチアミン代謝を増加させることにより、チアミンの活性型であるTDPの形成がブロックされる可能性があるためです。この症状はチアミンのサプリメントを摂取することで防げる可能性があります。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。

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