基本情報
ナトリウム(Sodium)は原子番号11、元素記号Naのアルカリ金属元素の一つです。
成人男性の体内におけるナトリウムの平均含有量は92gであり、その半分は細胞外液中に存在し、残りが骨格と細胞内液に見られます。
体内のナトリウムバランスは水分と密接に関連しており、腎臓によって細かく維持されています。
機能
ナトリウムは、細胞外液の主要な陽イオン(Na+)であり、細胞外液量を維持しています。
浸透圧、酸・塩基平衡の調節や神経と筋肉の機能にも重要な役割を果たしています。
また、ナトリウムは、胆汁、膵液、腸液などの材料でもあります。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
- 通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足することはありません。
- ナトリウム(および水)の欠乏は、重度の副腎不全、ナトリウム喪失腎疾患、広範囲の火傷、慢性下痢、嘔吐、発汗、糖尿病性ケトアシドーシスを発症する可能性があります。
過剰摂取によるリスク
- 高血圧を介して、 慢性腎臓病の発症、重症化に関与している可能性があります。
- 食塩摂取量が増えるに従い、胃がんのリスクが高くなると報告されています。
摂取量
必要量
座位で発汗を伴わない仕事に従事している成人のナトリウム不可避損失量は、1.173mg/体重(kg)(便:0.023mg/体重(kg)、尿:0.23mg/体重(kg)、皮膚:0.92mg/体重(kg))と試算されています。
1989年のアメリカの栄養所要量では、成人の不可避損失量として115mg、1991年のイギリスの食事摂取基準では、69〜490mgを採用しています。
これらのことから、成人のナトリウム不可避損失量は500mg以下であり、個人差を考慮し600mg(食塩相当量:1.5 g)が成人における男女共通の必要量とされました。
妊娠による母体の組織増加、胎児、胎盤を維持するために必要なナトリウム付加量は0.08g(食塩相当量:0.2g)となります。
また、母乳中には105mg(食塩相当量:0.27g)のナトリウムが含まれていることになる(泌乳量を0.78Lとして)。
ただ、これらの付加量は通常の食事で十分補えるので、妊婦、授乳婦共にナトリウムを付加する必要はありません。
上限量
目標量が上限量と同じような意図で作成されていることと、健康障害のリスクの上昇の前に、生活習慣病の発症予防及び重症化予防が重要であることから、上限量は設定されませんでした。
目標量
各国のガイドラインから高血圧の予防、治療のためには、6g未満の食塩摂取量が望ましいと考えられることから、この値に近づくことを目標とすべきであると考えられます。
2012年のWHOが成人に対して強く推奨しているのは、食塩相当量として5g未満ですが、実施可能性の観点から適切ではありません。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~49(歳) | 7.5g | 6.5g |
50~64(歳) | 7.5g | 7.0g |
65~74(歳) | 8.0g | 7.0g |
75~(歳) | 7.5g | 7.0g |
摂取源
食事による主な摂取源は、食塩(塩化ナトリウム)や食塩を含有する調味料です。
栄養成分表示でよく見られる食塩相当量から、ナトリウム量を求める場合は次のフォームで計算できます。
注意
ナトリウムは食塩摂取量に依存しており、その摂取レベルは高く、過剰摂取による生活習慣病の発症や重症化を予防する必要があります。
ただし、高温な環境での労働や運動時の発汗では、ナトリウムの喪失が多くなることがあるため、水分補給では、少量の食塩添加が必要とされます。
近年の日本の気温の上昇を考慮すると、熱中症対策としても適量の食塩摂取は必要と考えられます。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準を参考にし作成しています。
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