栄養学総論

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食べ物の行方(消化)

栄養の概念 栄養と栄養素

栄養とは

生物が生存に必要な物質を摂取して生命を維持する営み

栄養素とは

摂取する食品成分のこと(タンパク質やビタミンなど)

栄養素の種類

三大栄養素にはエネルギーが”あり”、ビタミンとミネラルが加わることでエネルギーに”なる”と考えることができる。

三大栄養素

  • タンパク質
  • 脂質
  • 糖質(炭水化物)

五大栄養素

  • タンパク質
  • 脂質
  • 糖質(炭水化物)
  • ビタミン
  • ミネラル(無機質)

消化の種類

食べたままの状態では、まだ栄養素レベルまで分解されない。

体内に取り込むためには、小腸で吸収されるサイズまで小さく分解する必要がある。

分解するための3つの消化

物理的消化

口内の咀嚼や胃腸での蠕動運動などで食物を砕いて消化液と混合。

攪拌し、化学的消化を受けやすくなる。

化学的消化

消化酵素による加水分解作用のこと。

消化の主役的機能を担っている。

生化学的消化

大腸内に存在する腸内細菌による分解。(発行や腐敗)

口腔と食道

口腔

咀嚼(そしゃく)

食べ物のを細かくし、唾液分泌を促進する。

細かくなった食べ物をまとめる→物理的消化

唾液に含まれるアミラーゼにより糖質を分解する→化学的消化

食道

蠕動(ぜんどう)運動

筋肉の収縮・弛緩により食塊の上から圧力をかけ、胃に運ぶ。

消化管壁には外側に縦走筋、内側に環状筋という二層の筋肉が交互に伝播性の収縮をする。

1.食塊の受け入れ

迷走神経反射により胃底部が弛緩する。

2.蠕動運動

胃体部中央付近より蠕動運動がおこり、食塊が移動する。

幽門部は蠕動が伝わると内腔が閉鎖し、食塊は胃体部へ押し戻され、胃液と混ぜ合わされる。

これを繰り返すことにより食塊は粉砕される。

3.十二指腸への排出

胃内圧が十二指腸内圧を超えると憂悶が開き、粥状液が少しずつ送り出される。

胃内の消化液

胃液

胃酸

壁細胞より分泌され塩酸が強い。(㏗2近く)

タンパク質の変性や胃内の殺菌を担う。

胃粘液

副細胞より分泌される。

胃の保護を担う。

ペプシノーゲン・ペプシン

ペプシノーゲンは主細胞から分泌される。

  • ペプシノーゲンは胃酸によって活性化され、ペプシンに変身する。

ペプシンはタンパク質の分解を行う。

胃酸分泌の調整機能

脳相

これから食事を始めようとする段階。(食前)

  • 食物を想像したり、見たり、匂いを嗅いだりすることで迷走神経が無条件で反射し、胃酸の分泌が向上する。
胃相

食物買いに入った段階で胃の機能を高める反応。

  • 迷走神経刺激により壁細胞が刺激され、胃酸の分泌が向上する。
  • 迷走神経刺激がG細胞に働き、ガストリンを分泌し壁細胞を刺激することでも、胃酸の分泌が向上する。
腸相

食物が十二指腸に移動した段階で腸の消化機能を高める反応。

  • 胃の酸性内容物が十二指腸に入ることにより、S細胞が刺激されセクレチンが分泌される。
    同時に、ガストリン、胃酸の分泌が低下する。
    また、重炭酸イオンが分泌され胃酸を中和する。
  • 胃の酸性内容物が十二指腸や空腸に入ることにより、I細胞が刺激されコレシストキニン、膵酵素の分泌、胆のうが収縮し胆汁酸の分泌が増強される。
    また、セクレチンの作用を増強する。

腸の消化

ミセル 膵リパーゼ

小腸での消化・吸収

空腸

空腸でほぼ最終の消化(膜消化)を行う。

空腸には輪状ひだがあり、輪状ひだには絨毛、絨毛は微絨毛をもち、糖や脂質などの五大栄養素を吸収する。

回腸

回腸では水や電解質、ビタミンB12の吸収や胆汁酸の再吸収が行われる。

大腸での消化・吸収

消化

大腸では生化学的消化が行われている。

消化酵素によって消化されない食物繊維などの成分を腸内細菌によって発酵し、短鎖脂肪酸などとして大腸のエネルギー源にしている。

短鎖脂肪酸…酢酸、酪酸、プロピオン酸など

吸収

大腸は蠕動運動により水と電解質を時間をかけて吸収する。

水分吸収が不十分であったり、蠕動運動が亢進すると下痢を引き起こす。

反対に、水分が吸収されすぎたり蠕動運動が低下すると便秘を引き起こす。

消化吸収後に残ったものや腸内細菌の残骸などを糞便として排泄。

消化吸収率

食べ物として摂取した栄養素が、どの程度体内に入っているかを知ることができる。

見かけの消化吸収率(%)

(摂取量ー糞便排泄量)÷摂取量×100

真の消化吸収率(%)

{摂取量ー(糞便排泄量ー内因性損失量)}÷摂取量×100

内因性損失量…消化液、消化管粘膜剥離細胞、腸内細菌などの食事に由来しない成分

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