シトルリンの有用性とアルギニンとの関係

citrulline_and_arginine_Eyechatch 栄養解説
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はじめに

シトルリンと聞くとエナジードリンクなどの炭酸飲料にも含まれており、元気の源というイメージが強いのではないでしょうか。
また、シトルリン単体ではなくアルギニンと一緒に含有されているのもよく見るでしょう。

なぜ、シトルリンはアルギニンと一緒に摂取する機会が多いのでしょうか。

今回はそんなシトルリンの有用性とアルギニンとの関係について解説します。

シトルリンとは

シトルリンはアミノ酸の一種であり、生体内でタンパク質を構成しないアミノ酸です。
体内では遊離アミノ酸の一つとして細胞内や血液中等、体の至るところに存在しています。

体内における代表的な働き

尿素回路

尿素回路は、体内で不要になったアミノ酸を処理する際に発生するアンモニアを無毒化する機構で、肝細胞内にあります。
アンモニアは体にとって有害な為、尿素サイクルによって無害な尿素に変換しています。

シトルリンは、同じくアミノ酸のアルギニンやオルニチンなどと共に、この尿素サイクルを円滑に機能させます。
つまり、シトルリンが不足するとアンモニアが体内に蓄積し、様々な障害が現れます。
例えば「リジン尿性タンパク質不耐症」では、先天的にある種のアミノ酸を吸収できない為、体内でシトルリンが欠乏します。
その結果、血中のアンモニア濃度が上昇することになりますが、シトルリンを摂取すると症状は顕著に改善されます。

一酸化窒素(NO)産生

NOサイクルは血管の研究から明らかにされました。
血管内皮細胞では、NO合成酵素によりアルギニンと酸素からNOとシトルリンが合成されます。
NOが放出されることで血管が拡張し、十分量の血液が体内を循環できるようになります。
この他にもNOには神経系、免疫系への作用もあります。
シトルリンはNOサイクルに関わり、生体にとって欠かせないNO産生を促します。
NOを直接作り出すのはアルギニンと酸素ですが、アルギニンはシトルリンから変換されるため、シトルリンもNOの合成には欠かせないと考えられています。

摂取

シトルリンは食品ではスイカ等のウリ科の植物に多く含まれており、肉や魚などでは補えないアミノ酸です。
100g当たりに含まれるシトルリン量ではスイカが非常に多く、購入しやすいウリ科の野菜であるキュウリのおよそ19倍です。

シトルリンとアルギニンは分子構造が非常に似ており、尿素サイクルやNOサイクルにおいては互いに変換し合いながら共同して働きます。
しかし、その吸収と代謝は大きく異なります。
どちらも小腸で吸収されるが、アルギニンの約40%は腸管壁でシトルリンになります。
また、アルギニンとして取り込まれたものもアルギナーゼなどの酵素の代謝を受け、肝臓で尿素サイクルに利用されたり、別な物質の合成に使われます。
これに対しシトルリンは小腸からそのままの形で血中に吸収されます。
その後、肝臓には行かず、腎臓で大部分がアルギニンとなり、そこから全身に運ばれていきます。
シトルリンはアルギニンと比べて、毒性が極めて少なく大量に飲んでも安心であり、アルギニンとは別の経路で細胞内に取り込まれて、速やかにアルギニンに変換されることなどから、経口摂取する場合はアルギニンよりシトルリンで摂る方が安全で効率がよいと考えられています。
最近では、シトルリンには優れた抗酸化作用がある事や、肥満の人ではシトルリンが欠乏していることなど、身近な健康課題との関係も指摘されています。

体内での合成

シトルリンは尿素回路において、オルニチンとアンモニアから生成されたカルバモイルリン酸の反応で、リン酸と共に生成されます。
また、NO合成酵素によってアルギニンと酸素からも、NOと共に合成されます。

urea_cycle

運動においての有用性

栄養素供給の最適化、直接的な筋肉タンパク質合成活性化、アナボリックホルモンのサポートなどがあります。
欧州で頻用されるシトルリンとリンゴ酸の化合物に関する研究では、エクササイズによって生じる乳酸やアンモニアなどの廃棄副産物の除去をシトルリンがスピードアップするとともにエネルギー生成を促進したと報告されています。
また、シトルリンがアルギニンとオルニチンと共にエクササイズのパフォーマンスを高めることを示した研究もあります。
シトルリンはアルギニンレベルを上昇させる効果があり、アルギニンはエクササイズパフォーマンスを高める効果があることを考えると、シトルリンもまたエクササイズのパフォーマンスを高めると考えて当然であるといえます。

まとめ

今回は、シトルリンの有用性とアルギニンとの関係について解説しました。

シトルリンは含有される食品がとても偏っているので、摂取においてはサプリメントがおすすめだといえるでしょう。
また、単体の摂取でも有用であると考えられるので積極的に摂取しましょう。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
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