基本情報
ビタミンD(別名カルシフェロール)は脂溶性のビタミンです。
供給源は二つあり、一つは皮膚に存在するプロビタミンD3が、日光の紫外線によりプレビタミンD3となり、体温によってビタミンD3が生成されます。
もう一つは、食品からの摂取です。
食品中に含まれるビタミンDは、キノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、魚肉や魚類肝臓に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)に分類されます。
ビタミンD2とビタミンD3は、体内で同様に代謝され分子量もほぼ等しいことから、食事摂取基準は、単にビタミンDとして両者の合計量で算定されました。
機能
ビタミンDは、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進します。
また、骨芽細胞と破骨細胞による骨成長と骨リモデリングにも必要な栄養素です。
その他にも、抗炎症、細胞増殖、神経筋機能、免疫機能、グルコース代謝などのプロセスを調節するなどの役割も持っています。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
- 欠乏すると石灰化障害(小児ではくる病、成人では骨軟化症)を引き起こします。
- 軽度の不足であっても、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症となります。
その結果、二次性副甲状腺機能亢進症が引き起こされ、骨吸収が亢進し、骨粗鬆症及び骨折のリスクとなります。
過剰摂取によるリスク
- 紫外線による皮膚での産生は、必要以上のビタミンDが産生されないよう調節されているため、日照によるビタミンD過剰症は起こりません。
- 多量のビタミンD摂取を続けると、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こります。
摂取量
必要量
日本においては、骨折のリスクと肝臓で代謝された形の25-ヒドロキシビタミンDの血液中の濃度の関係に関する研究は少なく、摂取量の評価が同時に行われた研究は極めて少ないことから、日本のデータに基づいて、目安量を定めることは困難と考えられました。
そのため、アメリカ・カナダの食事摂取基準(2011)において設定された推奨量(70歳以下に対して15µg/日)を参考に設定されました。
ただ、この値は日照による産生を考慮されていない為、日照によって産生されるビタミンDを差し引いた量を、目安量とされました。
国内3地域(札幌(北海道)・つくば(茨城県)・那覇(沖縄県))において一定量のビタミンDを産生するのに必要な曝露時間を求めた報告によると、紫外線の照射は、緯度や季節、天候による影響を大きく受けることがわかり、 日照による産生が最も低いと考えられる冬季の札幌では、最大限に見積もっても、5µg程度の産生と考えられました。
上限量
アメリカ・カナダの食事摂取基準にのっとり、上限量は100µg/日とされました。
目安量
ビタミンDは、摂取量の日間変動が非常に大きいため、正確な習慣的摂取量を把握することは極めて難しいです。
健康な成人を対象とした調査によるビタミンD摂取量の中央値は、単純平均すると8.3µg/日でした。
食事摂取基準の目安量はこれを丸めて8.5µg/日をとされました。
妊婦と授乳婦についても同量です。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~(歳) | 8.5µg | 8.5µg |
妊婦 | - | 8.5µg |
授乳婦 | - | 8.5µg |
摂取源
ビタミンDを含有する食物は少ないです。
ビタミンD3は脂肪性の魚(サケ、マグロ、サバなど)の身や魚肝油に多く含まれています。
ビタミンD2はキノコ類に含まれていますが、その量は一定ではありません。
注意
ビタミンDは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはビタミンD濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、ビタミンD摂取については医療スタッフと相談してください。
オルリスタット
減量薬のオルリスタットは、低脂肪食との併用により、食物やサプリメントからのビタミンDの吸収を抑え、25-ヒドロキシビタミンDのレベルを低下させる可能性があります。
スタチン
コレステロールの合成を低下させるスタチン系の薬は、ビタミンDの合成を低下させる可能性があります。
また、ビタミンDの大量摂取は、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチンの効力を低下させる可能性があります。
ステロイド
炎症を抑えるために使用されるプレドニゾンなどの合成副腎皮質ホルモン剤は、カルシウムの吸収を低下させたり、ビタミンDの代謝を損なったりすることがあります。
サイアザイド系利尿薬
クロルタリドンやヒドロクロロチアジドなどのサイアザイド系利尿薬は、尿中カルシウム排泄を減少させます。
これらの利尿薬とビタミンDサプリメントの併用は、高カルシウム血症を引き起こす可能性があります。
オルリスタットは医薬品として承認されていません。
日本国内においては「無承認無許可医薬品等」に該当するため、全て個人の責任となり、健康被害が報告された場合も健康被害救済制度の対象になりません。
また、クロルタリドンは販売中止となっています。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。
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