基本情報
ビタミンB6は水溶性のビタミンです。
ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなどのビタミンB6の活性を持つ6つの化合物の総称でもあります。
食事摂取基準は、ピリドキシンの重量として設定されました。
機能
ビタミンB6は、神経伝達物質の生合成を通じた認知機能の発達や、糖新生と糖原分解、免疫機能にも関与しています。
リン酸化型のビタミンB6は、体内で幅広い機能を果たしており、100を上回る酵素反応に関与し、そのほとんどがタンパク質代謝に関わります。
また、ピリドキサールのリン酸化型であるピリドキサール5-リン酸は炭水化物、脂質の代謝などにも関与しています。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
- ビタミンB6単独の欠乏症は、あまりみられません。
ビタミンB6不足は通常、他のビタミンB群(ビタミンB12や葉酸など)の不足と同時に起こります。 - ビタミンB6が欠乏するとペラグラ様症候群、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角症、リンパ球減少症が起こります。
成人では、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作、乳児では、易刺激性、聴覚過敏、けいれん発作を引き起こします。
過剰摂取によるリスク
- 通常の食品を摂取している者で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告はありません。
- ピリドキシン大量摂取時(数g/日を数か月程度)には、感覚性ニューロパチーを発症します。
摂取量
必要量
ビタミンB6の欠乏に起因する障害の報告を基に、血漿中のピリドキサール5-リン酸の濃度を30nmol/Lに維持すれば、障害は全く観察されなくなることからその濃度を維持できる摂取量を推定平均必要量とされました。
また、アミノ酸の代謝量に応じて要求量が高まることから、推定平均必要量を算定するための参照値は0.019mg/タンパク質(g)とされました。
妊婦付加量は、初期は0mg、中期は0.037mg、後期は0.156mgと算定されますが、妊娠期は個々人によるタンパク質要求量が著しく異なり、妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値である0.156mgに丸め処理行った0.2mg/日を、妊娠期を通じた必要量とされました。
また、授乳婦の付加量は、0.3mg/日とされています。
上限量
ピリドキサール5-リン酸の大量摂取時(数g/日を数か月程度)には、感覚性ニューロパチーという明確な健康障害が発症します。
この障害の発生が認められなかったという報告がある投与量から、上限量算定の参照値は0.86 mg/体重(kg)とされました。
推奨量
推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
妊婦の付加量は、必要量と変わらず0.2mg/日とされています。
また、授乳婦についても変わらず0.3mg/日とされています。
摂取源
ビタミンB6は、魚、牛レバー、ジャガイモ等の澱粉質の野菜、果物(柑橘類を除く)に多く含まれます。
注意
ビタミンB6は特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはビタミンB6濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、ビタミンB6摂取については医療スタッフと相談してください。
サイクロセリン
結核の治療に用いる抗生物質であるサイクロセリンは、ピリドキサールリン酸と併用すると、ピリドキシンの尿中排泄が増加します。
このことによって、サイクロセリンに関連するけいれんと神経毒性が増悪する可能性があります。
抗てんかん薬
バルプロ酸ナトリウムや、カルバマゼピン、フェニトインなどの一部の抗てんかん薬は、ビタミンB6の化合物の異化代謝の割合を増大させるため、血漿中のピリドキサール5─リン酸濃度の低下と高ホモシステイン血症を引き起こします。
抗てんかん薬使用者における高ホモシステイン値は、てんかん発作と全身性の血管障害(脳卒中など)のリスクを増大させ、てんかん患者の発作をコントロールする能力が低下する可能性があります。
加えて、一般に患者は抗てんかん薬を何年も使用するため、慢性血管障害のリスクが高まります。
また、ピリドキシン補充によって薬剤の代謝が亢進するため可能性があるためフェニトインとフェノバルビタールの血清中濃度が低下することが示されています。
テオフィリン
喘息、慢性気管支炎、肺気腫、およびその他の肺疾患によって起こる息切れ、喘鳴、その他の呼吸障害を予防または治療する医薬品のテオフィリンを投与されている患者は、血漿中のピリドキサール5─リン酸濃度の低下をきたし、そのためにテオフィリンに関連するけいれんなどの神経性および中枢神経系の副作用に寄与する可能性があります。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。
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