はじめに
ダイエットと一口に言っても、糖質制限や脂質制限など方法は様々であり、目的もそれぞれ違っていると思います。
ただ、『楽をしたい』というのは誰もが抱く共通の意見と思います。
本シリーズでは、ダイエットが少しでも『楽』になるように食品から摂取ができる栄養素を紹介します。
今回は、脂肪燃焼のメカニズムとそこから考えるアプローチについて解説します。
体脂肪とは
体脂肪は皮膚の下に蓄積される皮下脂肪と、内臓の周りに蓄積される内臓脂肪に分かれています。
脂肪は中性脂肪(トリグリセリド)として体内の脂肪細胞、主に白色脂肪細胞に蓄積されています。
脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があり、それぞれ異なった性質を持っています。
脂肪細胞の種類
白色脂肪細胞
![white_adipocyte](https://luc-ems.com/wp-content/uploads/2022/04/white_adipocyte-1.jpg)
白色脂肪細胞は全身に広く分布しており、血液中に流れている脂肪酸や糖を取り込み細胞内の脂肪滴にエネルギーとして蓄えています。
脂肪滴に蓄えられた脂肪は、エネルギーが必要になると分解され全身に供給されます。
ただ、脂肪細胞自体は残っているので、エネルギーが過剰になるとまた脂肪を蓄え始めます。
褐色脂肪細胞
![brown_adipocyte](https://luc-ems.com/wp-content/uploads/2022/04/brown_adipocyte.jpg)
褐色脂肪細胞は胸部や肩部、内臓脂肪に分布しており、細胞内にミトコンドリアが多く、脂肪を燃焼させることで熱を産生し体温を維持しています。
白色脂肪細胞とはことなり脂肪滴は小さなものが複数存在しています。
ヒトは成長するにしたがって骨格筋にて基礎代謝の役割を担うようになるので、加齢によって褐色脂肪細胞は減少していきます。
脂肪組織の役割
白色脂肪細胞や褐色脂肪細胞などから構成される脂肪組織は、脂肪の蓄積や供給だけでなく人体において様々な働きを持っています。
善玉の因子
- 前駆体からエストロゲン(女性ホルモン)への変換
- 抗糖尿病・抗動脈硬化に関わるアディポネクチンの分泌
- 摂食調節・熱産生に関わるレプチンの分泌
悪玉の因子
- 動脈硬化症に関わるMCP-1の分泌
- 血栓形成に関わるPAI-1の分泌
- 糖尿病に関わるTNF-αの分泌
- 高血圧症に関わるアンジオテンシンIIの分泌
これらのほかにも多くの因子が分泌・産生されており、肥満によって白色脂肪細胞が肥大化することで善玉の因子の分泌・産生が減少し、悪玉の因子が増加します。
そして、こうした悪玉の因子は、皮下脂肪よりも肝臓に近い内臓脂肪で影響を及ぼすことが報告されています。
体脂肪の蓄積と分解の仕組み
![lipid_metabolism(abridged)](https://luc-ems.com/wp-content/uploads/2022/04/lipid_metabolismabridged-1024x538.jpg)
食事から摂取した脂質は、リパーゼという消化酵素によって脂肪酸とグリセロールに分解され様々な代謝経路を経た後、中性脂肪(トリグリセリド)に変換されます。
また、過剰に摂取された炭水化物(ブドウ糖)もインスリンの働きによって中性脂肪(トリグリセリド)に変換されます。
中性脂肪(トリグリセリド)は、アドレナリン等のホルモンによって活性化されたホルモン感受性リパーゼによって、脂肪酸とグリセロールに分解されます。
脂肪酸は大量の酸素を用いて二酸化炭素と水に分解され、それぞれ体外へ排出されます。
実際はもっと複雑ですが、簡単に表すとこのような形で代謝されており、これを一般的に脂肪燃焼と呼びます。
脂肪燃焼へのアプローチ
先ほどの仕組みから1つの方向からではなく様々な方面からのアプローチをすることで効率的に体脂肪を減少させることが出来ると考えることができます。
アプローチとしては『消化』と『代謝』の面から考えることができ、それぞれを細分化し、実際のアプローチ方法を考えます。
消化(中性脂肪を蓄積させない)
- 脂質を吸収させない
- 脂肪を蓄積させない
- 脂肪を合成させない
代謝(中性脂肪を分解する)
- 中性脂肪の分解を促進する
- 中性脂肪の代謝を促進する
一度にすべてを試すとどのアプローチが効果的であったかわからなくなってしまいます。
また、同じ方法を継続すると、『慣れ』というのが出てきてしまい、いわゆる『停滞期』を迎えてしまうことになります。
試すときは一つ一つ試し、身体に合って効果が感じられるものを継続し、『停滞期』を迎えた頃に別のアプローチと組み合わせることで『停滞期』を乗り越えることが出来ます。
まとめ
今回は、脂肪燃焼のメカニズムとそこから考えるアプローチについて解説しました。
メカニズムがわかれば、有酸素運動がダイエットに有効な理由も自ずと分かるはずです。
次回は、『消化(中性脂肪を蓄積させない)』にフォーカスを当てた解説をする予定です。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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