基本情報
炭水化物は、炭素と水からなる化合物であり、単糖あるいはそれらで構成される重合体です。
炭水化物は主に単糖類(グルコース・フルクトース等)や二糖類(スクロース・ラクトース等)などが分類される糖類、オリゴ糖、多糖類(デンプン)に分類されます。
生理学的には、ヒトの消化酵素で消化できる易消化性炭水化物と消化できない難消化性炭水化物に分類されます。
食物繊維という名称は、生理学的な特性を重視した分類法であり、食物繊維の定義は国内外の組織間で少しずつ異なっていますが、食事摂取基準ではその科学性をある程度担保しつつ、活用の簡便性を図ることを目的として、易消化性炭水化物を糖質、難消化性炭水化物を食物繊維と呼ぶこととされました。
機能
栄養学的な側面からみた炭水化物の最も重要な役割は、エネルギー源です。
炭水化物から摂取するエネルギーのうち、食物繊維に由来する部分はごくわずかであり、そのほとんどは糖質に由来します。
糖質は、1gあたりおよそ4kcalのエネルギーを産生します。
主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等、通常はぶどう糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することです。
食物繊維は、腸内細菌による発酵分解によってエネルギーを産生しますが、その値は一定でなく1gあたり0〜2kcalと考えられています。
さらに、炭水化物に占める食物繊維の割合はわずかであるために、食物繊維に由来するエネルギーが炭水化物全体に由来するエネルギーに占める割合はごくわずかであり、食事摂取基準の活用上は無視し得ると考えられています。
摂取量の過不足によるリスク
摂取不足によるリスク
食物繊維摂取量は、総死亡率、心筋梗塞の発症及び死亡、脳卒中の発症、循環器疾患の発症及び死亡、2型糖尿病の発症、乳がんの発症、胃がんの発症、大腸がんの発症など数多くの疾患と有意な負の関連が報告されています。
過剰摂取によるリスク
糖類の過剰摂取は、肥満やう歯の原因となります。
摂取量
炭水化物、特に糖質は、エネルギー源として重要な役割を担っていますが、必要量は明らかにできません。
また、乳児以外の者はこれよりも相当に多い炭水化物を摂取しているため、推定必要量を算定する意味も価値も乏しく、炭水化物が直接に特定の健康障害の原因となるとの報告は、2型糖尿病を除けば、理論的にも疫学的にも乏しことから、炭水化物については必要量・推奨量・目安量・上限量は設定されませんでした。
ただ、炭水化物はエネルギー源として重要であるため、この観点から指標を算定する必要があり、アルコールを含む合計量として、目標量(範囲)が算定されました。
一方、食物繊維は、摂取不足が対象とする生活習慣病の発症に関連するという報告が多いことか
ら、目標量を設定することとされました。
炭水化物
目標量
炭水化物は質への配慮を欠くと、精製度の高い穀類や甘味飲料、酒類に頼る食事になりかねません。
精製度の高い穀類や甘味飲料、酒類はミネラル、ビタミンの含有量が他の食品に比べて相対的に少ないため、摂取不足を招きかねないと考えられています。
上限
タンパク質の目標量の下の値(13~15%)と脂質の目標量の下の値(20%)に対応する炭水化物の目標量は67~65%となるが、上記の理由のために、目標量(上限)は65%とされました。
したがって、タンパク質、脂質、炭水化物のそれぞれの目標量の下の値の合計は100%にはなりません。
下限
目標量(下限)は、タンパク質の目標量の上の値(20%)と脂質の目標量の上の値(30%)に対応させました。
この場合、食物繊維の摂取量が少なくならないように注意が必要です。
食物繊維
必要量
アメリカ・カナダの食事摂取基準を参考にすれば、成人では1,000kcalあたり14g以上を目標量とすべきであると考えられます。
ただ、平成28年国民健康・栄養調査に基づく日本人の食物繊維摂取量の中央値は、全ての年齢区分でこれらよりかなり少ないです。
そのために、この値を目標量として掲げてもその実施可能性は低いと言わざるを得ません。
そこで、目標量をについては下記の式で算定することとされました。
18.9×〔体重(kg)÷58.3〕0.75
アルコール
アルコール(エタノール)は、ヒトにとって必須の栄養素ではないため、指標は算定しないことにされました。
最後に
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準、を参考にし作成しています。
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