カフェインの危険性

栄養解説
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はじめに

カフェインは眠気覚ましの商品や清涼飲料水など多くのものに含まれており、ここ一番の頑張りをサポートするイメージが強い成分です。

実際、覚醒作用を持つ成分であり、食品としてはお茶やコーヒー以外にもチョコレートやココアにも含まれています。

人々の生活に密接する関係にある成分ですが、過剰摂取という言葉をよく耳にする成分でもあります。

今回は、そんなカフェインについて解説していきます。

カフェインとは

カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンと化学構造が似ており、体内のアデノシン受容体に結合します。
その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、アデノシンの働きが阻害され、神経を興奮させます。
このことから医薬品である心臓疾患診断補助剤のアデノシンはカフェインをはじめとしたキサンチン系を併用禁忌としています。

また、コーヒーや茶葉から抽出されたカフェインは、清涼飲料水などに食品添加物として使用されています。

カフェインの作用

中枢神経系

不眠・不安

カフェインが睡眠に対して影響を及ぼすことは一般的によく知られています。
成人では、100mg以上のカフェイン摂取は、睡眠までの時間の延長や睡眠時間の短縮を引き起こすことが報告されています。
100mg未満では睡眠に対して著しい影響を及ぼさないという報告もありますが、感受性の個人差を考慮すると、より少量のカフェインでも、睡眠に影響が生じると考えられます。

大量(400~500mg以上)のカフェインは、不安障害患者だけでなく、健常者でも不安を誘発することが知られています。
これらは体内のアデノシン受容体が、カフェインによる不安誘発や不眠誘発の個人差と関係している可能性が指摘されています。

行動遂行・疲労感

カフェイン(4~10mg/kg)の1時間前摂取により、運動中の疲労感が減退し、カフェイン摂取の中断により、疲労感が上昇することが報告されています。
ただ、カフェインが疲労に対する感度を落とすのか、疲労そのものを減少させるかは不明です。

カフェインによる疲労感の減少は遂行能力の向上につながるので、好ましい効果であるという意見がある一方、疲労感は遂行継続による身体機能への悪影響を防ぐための生理的防御反応なので、それをむやみに低下させることは、循環器系や筋骨格系にかえって危険であるとの意見もあります。

循環器系

血管機能・血圧

カフェイン摂取は血圧を高め、コーヒー非常習の健康人において不整脈を誘発する可能性が示唆されています。

正常血圧と高血圧の人を対象に、血圧に及ぼすカフェイン1回摂取の効果を検討した報告によると、正常血圧の人が コーヒー2~3杯相当(200~250mg)を摂取すると、血圧が上昇すると報告されています。
血圧変化は血漿カフェイン濃度と並行し、変化は摂取30分後から出現し、60~120分後に最大となり、2~4時間持続しました。
高血圧患者を対象にしても、同様の血圧上昇が観察されており、昇圧効果は、高齢者、カフェイン離脱中の者、身体的・精神的ストレス状態、高血圧者において顕著でした。

心臓機能

運動による心臓活動の亢進は、アデノシン産生の増加に起因し、冠状動脈の拡張を引き起こします。
しかし、カフェインはアデノシンが高密度で存在する冠状動脈において、アデノシンの血管拡張作用を阻止することで、運動中の心筋内血流量の増加を阻止します。
この効果は、カフェインが低酸素状態という特殊環境(高山など)での運動において、心機能の維持に有効であることを示唆しています。

水収支と体温

水収支・電解質バランス

カフェインには利尿作用があることが知られていますが、カフェインの長期摂取による水収支への悪影響が生じる可能性は低いと考えられています。
その理由は、カフェインがコーヒーや茶によって摂取され、水も一緒に摂取されるからです。
コーヒー常用者を対象に、1日あたり400mgのカフェインを4日間にわたって摂取してもらう実験では、体重、尿の浸透圧・色、尿比重、24 時間尿量などに変化はありませんでした。

体温

カフェイン摂取と体温上昇の関連性についての実験では、運動開始前・運動中にカフェインを摂取したグループはカフェインを摂取しなかったグループと比べ体温が上昇したと報告されています。
そして、給水していれば、体液量、電解質バランスはカフェインの有無にほとんど無関係であり、脱水状態は避けられることを示しています。

まとめ

今回は、カフェインについて解説しました。

これらの作用はうまく付き合えば、普段の活動パフォーマンスを向上してくれるものですが、過剰摂取になれば悪心や嘔吐等の消化器症状、不整脈、血圧上昇等の循環器症状、痙攣、昏睡、不眠、不安等の精神神経症状、呼吸促進、呼吸麻痺等の呼吸器症状、瞳孔散大など様々な副作用が現れます。
ただ、これらの症状は過剰摂取でなくとも発症することがあります。

食品や医薬品(眠気防止薬や鎮痛薬など)にも含まれているので、知らず知らずのうちに過剰摂取にならないよう注意が必要です。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
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