はじめに
痛風と聞くと”お酒をよく飲む人”が罹る病と思う人も多いでしょう。
プリン体とセットで耳にする痛風。
そして、痛風とセットで耳にする尿酸。
これらにはどのような繋がりがあるのでしょうか。
今回はそんなプリン体と痛風について解説します。
プリン体とは
プリン体はプリン骨格を持つ物質の総称です。
核酸(DNA・RNA)を構成する主成分であり、エネルギー代謝の主役であるATP等が含まれます。
これら体内のプリン体は、細胞分裂やエネルギー代謝、シグナル伝達に利用された後、最終的に尿酸として腎臓と腸管から排泄されます。
生活習慣病の高尿酸血症
食事で摂取されるプリン体の5~9割は24時間以内に排泄されます。
ただ、尿酸は排泄が限られているため、プリン体を多く含む食品をたくさん摂取すると、排泄しきれない尿酸が体内に残り高尿酸血症を起こします。
高尿酸血症の状態が続くと、結晶化した尿酸が関節に付着し、痛風(急性関節炎)を引き起こします。
他にも、腎臓や尿路に沈着して腎臓障害や尿酸結石を起こすこともあります。
高尿酸血症の緩和にはプリン体の摂取量を減らすほか、血清中の尿酸値を下げる必要があると考えられます。
尿酸値に影響を与える食品
尿酸値を上げる
尿酸値を上げる食品はプリン体を含む食品の他、果糖(フルクトース)やアルコールがあります。
果糖を静脈に投与した実験では尿酸値の増加が確認されており、これは急速なエネルギー(ATP)消費による尿酸産生のためであるとされています。
また、飲酒により血清尿酸値が上昇することが、多くの研究により確められています。
大量飲酒では、ATPの分解と同時に乳酸による尿酸の排泄が低下し、尿酸値が上昇します。
プリン体を含む食品
100gの食品に含まれるプリン体量(mg)を「極めて多い」(300mg~)、「多い」(200~300mg)、「中程度」(100~200mg)、「少ない」(50~100mg)、「極めて少ない」(~50mg)の5段階に分類したデータはプリン体の摂取量を知るのに利用できます。
プリン体の多くは細胞に含まれるDNAやRNA等の核酸に由来しているため、レバーなど細胞分裂しているものや100gあたりの細胞数が多いものにたくさん含まれることになります。
白子は遺伝子(DNA)の塊であるためプリン体が多く、干物は水分が蒸発してプリン体が濃縮されているため、「極めて多い」「多い」に分類されます。
これらのように「極めて多い」「多い」に分類される食品は少なめに摂取することが勧められます。
一方、肉類、魚類では、プリン体は筋肉に含まれるIMP(ATPの分解物)やイノシンに由来し、「中程度」に属するものがほとんどです。
野菜類は「極めて少ない」に属するものが大多数ですが、ほうれん草やブロッコリースプラウトなど一部の野菜でプリン体を「少ない」または「中程度」含むものがあり、これらは「プリンリッチ野菜」と呼ばれています。
プリンリッチといっても野菜としては多いということであり、肉類や魚類に比べると血清尿酸値への影響は少ないです。
尿酸値を下げる
尿酸値を下げる食品はタンパク質、ビタミンC、ポリフェノール、食物繊維、コーヒーがあります。
乳製品を多く摂取する人では、摂取の少ない人に比べて血清尿酸値が低く痛風の発症リスクも少ないことがアメリカの疫学調査により確かめられており、これは含まれるタンパク質の作用によると考えられています。
同様の研究では、コーヒーと尿酸値の関係が調べられ、一日にコーヒーを4杯以上飲む人では有意に尿酸値の低下が認められています。
また、食物繊維は便への排泄を増加させることにより、血中および尿中の上昇を抑制したことが報告されています。
食事管理
高尿酸血症・痛風は代表的な生活習慣病であることから、総エネルギー摂取量のコントロールが重要です。
体格や年齢、日常生活の活動量より適正なエネルギー量を見極め、バランスの良い食事や食物繊維の積極的な摂取、また食塩が過剰にならないよう注意する必要があります。
高尿酸血症・痛風患者の食事管理
- 総エネルギー量のコントロール
- 摂取エネルギー量の適正化。
- 高炭水化物食を避ける
- インスリン抵抗性を増悪させない。
- 乳製品の積極的摂取
- 血清尿酸値を低下させ、痛風のリスクも増加させない。
- ショ糖,果糖の過剰摂取を避ける
- インスリン抵抗性を増悪させない。
- プリン体摂取量,400mg / 日以下
- 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)より。
- 十分な飲水
- 尿量を2L以上確保。
- 飲酒制限
- アルコールは代謝と関連して血清尿酸値を上昇させる。
まとめ
今回は、プリン体と痛風について解説しました。
痛風に対する治療薬も複数ありますが、生活習慣病の一つであると考えると根本的な解決は生活習慣の見直しが必要です。
普段の生活から気を付けるようにしましょう!
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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