ナイアシン(ビタミンB3)

niacin_Eyechatch 栄養解説
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基本情報

ナイアシン(ビタミンB3)は水溶性のビタミンB群の1つです。
ナイアシンは、広義では、ニコチン酸、ニコチンアミド、およびなどの関連誘導体の総称です。
食事摂取基準はニコチン酸量として設定し、ナイアシン当量(niacin equivalent:NE)という単位で設定されました。

機能

ニコチン酸及びニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、さまざまな酸化還元反応の補酵素として作用します。
また、ATP産生、ビタミンC、ビタミンEを介する抗酸化系、脂肪酸の生合成、ステロイドホルモンの生合成等の反応も関与しています。
ニコチン酸の酸化型であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、DNAの修復、合成、細胞分化に関わっています。

摂取量の過不足によるリスク

摂取不足によるリスク

  • 重度のナイアシン欠乏症は、ペラグラにつながります。
    ペラグラは日光にさらされた皮膚に日焼けのような潮紅、かゆみ、水疱が生じ、左右対称の赤い発疹が出ます。
    また、吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの消化管全体の不調が現れ、舌と口に口内炎が生じ、喉や食道にも炎症が起こります。
    症状が進行すると、疲労、不眠、無感情、錯乱、幻覚などが起こり、最悪の場合死に至ります。

過剰摂取によるリスク

  • 通常の食品を摂取している者で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告はありません。
  • ニコチンアミドは糖尿病患者への、ニコチン酸は脂質異常症患者への治療薬として大量投与された報告が複数あり、消化器系(消化不良、重篤な下痢、便秘)や肝臓に障害(肝機能低下、劇症肝炎)が生じた例が報告されています。
  • ニコチン酸摂取による軽度の皮膚発赤作用は一過性のものであり、健康上悪影響を及ぼすものではありません。

摂取量

必要量

ナイアシン欠乏症のペラグラの発症を予防できる最小摂取量を、推定平均必要量とし、エネルギー代謝に関わるビタミンであることから推定平均必要量を算定するための参照値は4.8mgNE/1,000kcalとされました。
妊婦では、トリプトファンからニコチンアミドへの転換率が非妊娠時に比べて増大するため、付加量は設定されませんでした。
ただ、妊娠期に高くなった転換率は、出産後、速やかに非妊娠時の値に戻るため、授乳婦の付加量は、3.0mg/日とされています。

上限量

大量投与により、消化器系や肝臓に障害が生じた例などから、成人のニコチンアミドの耐容上限量算定の参照値を5mg/体重(kg)、ニコチン酸の耐容上限量算定の参照値を 1.25mg/体重(kg)とされています。

推奨量

推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。
授乳婦の付加量は、必要量と変わらず3.0mg/日とされています。

摂取源

ナイアシンは肉、魚、穀物など多くの食品に含まれています。
熱に強い特性を持つため、加熱による損失は少ないですが、水溶性ビタミンのため、 調理用の水を捨てると多量のビタミンが失われます。
また、60mgの必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)のトリプトファンから1mgのナイアシンが生合成されます 。

注意

ナイアシンは特定の医薬品との間で相互作用が認められ、一部の医薬品によってはチアミン濃度に有害な作用を及ぼす場合があるため、ナイアシン摂取については医療スタッフと相談してください。

結核治療薬

結核の予防や治療に使用されるイソニアジドと結核の治療に使用されるピラジナミドは、ナイアシンと構造が類似しており、ビタミンB6と競合することによってトリプトファンからのナイアシンの生産を中断する可能性があります。
また、イソニアジドはニコチン酸のNAD+への変換を妨げる可能性があります。

糖尿病薬

糖尿病薬を服用している人は、高用量のニコチン酸サプリメントを併用する場合は、用量調整が必要になる可能性があるため、血糖値を監視する必要があります。
ニコチン酸の大量投与は、インスリン抵抗性を悪化させたり、肝臓でのブドウ糖産生を増加させたりすることにより、血糖値を上昇させる可能性があります。
いくつかの研究では、ニコチン酸の投与量が1.5g/日以上の場合、糖尿病の有無にかかわらず、血糖値が上昇する可能性が最も高いことがわかっています。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました!
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このページは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準と、ODSのDietary Supplement Fact Sheetsの各栄養素ごとの情報を参考にし作成しています。

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