はじめに
努力が必要な時、人は誰しも「楽をしたい」と思うものです。
ダイエットにおいても、「○○するだけで痩せる」や「○○を飲むだけで痩せる」といった謳い文句の商品が跋扈しています。
痩せるためには食生活の改善や生活習慣の改善が必要であり、サプリメントはあくまで「補助」であるという前提の元に、「痩せ」を加速させるサプリメンテーションについて解説します。
「痩せ」とは
一言に「痩せ」といっても、その方法や結果は様々なものがあります。
今回は体脂肪の燃焼による「痩せ」について解説します。
脂肪が燃焼されるとき、体内ではこのような順で燃焼されます。
- 脂肪細胞の脂肪滴に蓄積された脂肪はホルモン感受性リパーゼなどの働きによって、脂肪酸とグリセロールに分解されます。
- 脂肪酸は細胞内の細胞質で活性化されアシルCoAとなり、カルニチンと結合することによってミトコンドリアへ運搬されます。
- 運搬されたアシルCoAはミトコンドリアのマトリクスで行われるβ酸化によってアセチルCoAに分解されます。
- 分解されたアセチルCoAはミトコンドリアのマトリクスで行われるTCA回路によって二酸化炭素を放出し、代謝の過程でNADHやコハク酸を産生します。
- 産生された物質はミトコンドリアで行われる呼吸鎖によって水に変換され、ADPとリン酸をATPへ変換します。
- 変換されたATPはエネルギーとして体を動かします。
体脂肪の燃焼の過程についてはこちらのページで詳しく解説しています。
興味がある方は併せてご覧ください。
構成成分
Step1
ホルモン感受性リパーゼを活性化させるには、アドレナリン等のホルモンを放出させることが必要です。
これらのホルモンは自律神経の交感神経を優位にすることで、体内の各組織をいわゆる”興奮”状態にします。
作用を持つ栄養素としてはカフェインやカプサイシンなどがあります。
ただ、カプサイシンは唐辛子の辛み成分であるため、運動中のドリンクの構成材料として適切でないと考えられます。
また、インスリンはこの作用に抑制的に働く特性があるため、インスリンの分泌を促す糖質(グルコース)の摂取も適切でないと考えられます。
このステップにおいては、摂取のしやすさなどの観点からカフェインが最適と考えられます。
Step2
カルニチンは体内で合成されていますが、遺伝的な理由などから十分な量を合成できない人もいます。
食品では牛肉に多く含まれていますが、固体であるためサプリメントからの摂取が現実的と考えられます。
カルニチンのなかでもアセチルLカルニチンは小腸からの吸収が良いことが報告されています。
サプリメントを購入する場合は、1g当たりの価格の安さや必要量が調整しやすいパウダータイプがおすすめですが、非常に酸味が強いので苦手な方はカプセルタイプがおすすめです。
このステップにおいては、これらの理由より粉末のアセチルLカルニチンサプリが最適と考えられます。
Step3
補酵素A(CoA)はATPとL-システインとパントテン酸に由来する部位で構成されています。
L-システインは体内で合成することができるアミノ酸で、必須アミノ酸のメチオニンから合成されます。
メチオニンは体内の代謝経路にてカルニチンを合成することもできます。
体内においてCoAはビタミンの1種であるパントテン酸より合成されます。
パントテン酸は多くの食品に含まれている成分であるため意識的に摂取する必要はありません。
パントテン酸についてはこちらのページで詳しく解説しています。
興味がある方は併せてご覧ください。
Step4
TCA回路において、アセチルCoAはオキサロ酢酸と共にクエン酸に変換されます。
オキサロ酢酸は糖質やタンパク質の代謝によって得られる為、過度な食事制限によって栄養不足の場合はアセチルCoAがTCA回路で消費されなくなります。
消費されなかったアセチルCoAは肝臓内のミトコンドリアによってケトン体に作り替えられ、体内の各組織はケトンをエネルギー源とし活動します。
糖質制限やケトジェニックダイエットをしている場合はメリットになりますが、今回の手順においてはデメリットとなりますので、過度な制限はしない方が良いでしょう。
Step5
細胞内のミトコンドリアにて行われる呼吸鎖には4つの複合体と呼ばれるものが関与しています。
補酵素Q(CoQ)はそのうち3つの複合体に関与しています。
補酵素Q(CoQ)は体内では大腸菌によって合成されるほか、青魚や肉類からも摂取できますが、効果を期待できる量を食品から摂取することは現実的ではありません。
サプリメントは大きく分けて還元型と酸化型の2種類があり、前者はユビキノン、後者はユビキノールとも呼ばれます。
体内にはそのほとんどが還元型(血中においては95%)で存在しており、酸化型を摂取した場合は、小腸で吸収された後に還元型へ変換されます。
予算に余裕があるのであれば変換の必要がない還元型の摂取をおすすめします。
各栄養素の摂取タイミング
- カフェイン
- アセチルLカルニチン
- メチオニン
- パントテン酸
- CoQ10
これらのサプリメントは基本的に即効性のないものだと考えていますが、カフェインだけは例外です。
カフェイン以外の栄養素は食後等のタイミングで継続的に摂取し、有酸素運動等でエネルギーを必要とする際に前もってカフェインを摂取することで、それぞれの効果を最大限活かすことができます。
まとめ
今回は、「痩せ」を加速させるサプリメンテーションについて解説しました。
はじめにもお伝えしましたが、これを飲むだけで痩せるといったものではありません。
サプリメントは、ほんの少し楽になるかもしれない程度の期待で摂取しましょう。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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